| 本武 今年度、環境省の出先機関として各地に総合事務所が置かれるとうかがいました。九州では、その総合事務所が熊本県に配置されるとのことですが、その経緯と事務所の役割についてお聞きしたいと思います。
やはり、総合事務所設置は、京都議定書の削減目標達成の一環でしょうか。
野田 環境省が、各地域ブロックに地方総合支局を置くことになったのは、これからの環境行政は、環境省だけではなく各自治体及び住民の皆さんとの強い結びつきが不可欠になってくるからです。
これまでの環境省と自治体の関わりは、国立公園や水俣病など局部的なものでした。しかし、廃棄物対策や地球温暖化対策など広域的、効率的に取り組むことが必要になってきています。そこで、地域と国との連携を図ることを第一の目的に、地域毎に地方総合支局というブロック機関を設けることになったわけです。
熊本にはもともと阿蘇国立公園事務所が置かれており、阿蘇・天草という2つの国立公園を擁していますし、立地的にも九州の中央に位置します。また、水俣病という原初的環境問題も経験しています。そういった観点から、熊本にブロック機関を置くことが決まりました。
本武 各ブロック機関の役割は具体的になっているのでしょうか。例えば、国のCO2削減目標達成に関し、ブロック毎での数値管理や指導も業務の範囲内ですか。
野田 地域毎に数値目標を設定する事は、現状では難しい面があります。業務については、まだ具体的なものになっていない部分もありますが、自治体や民間の方から情報提供いただいたり、逆に地域へ情報発信したり、環境行政指導を行うなど相互協力しながら、国と連動した地域の環境対策・保全活動を行っていくことになると思います。
本武 今年10月からの業務スタートということで、今後、国・地方自治体・地域住民が一体となった行動を目指していく体制が整ってくるわけですね。 野田代議士がおっしゃるように、環境問題は一地域、一県市町村単位の問題ではなくなっています。総合支局ができることによって、よりグローバルな環境対策・保全活動が実践されることを期待したいと思います。
その地域の環境対策に関し、平成14年に「有明海及び八代海を再生するための特別措置法」、いわゆる有明海特措法が制定されました。関係県としては、以前のような水産資源の豊かな有明海が再生されることを願っています。特措法施行後の動きについて、どう評価されますか。
野田 有明海特措法は、ノリの色落ちによる不作やタイラギ等海産物の減少といった有明海の異変を受け、2001年の通常国会に議員立法の形で提出され、調査や研究、検討がくり返された後、2002年11月に成立しました。
その目的は有明・八代海の環境改善と水産資源回復にあり、国が再生の基本方針を定め、関係各県(熊本、福岡、佐賀、長崎、大分、鹿児島の6県)が環境保全や漁業振興の具体的計画を策定。国が各県の計画調整や、資金補助等の支援を行うことになっています。現段階においては、国および各自治体が措置法に基づいて状況把握のための調査や研究、実施計画案の策定を進めているところです。
計画案で大切なことは、下水道整備や堆積物の除去、漁業者の協力(養殖時に有害物質を使わないなど)といった水質悪化防止・再生と、水産動物の種苗の放流、漁業規制(休漁期間、禁漁区等)、漁礁の整備などの水産資源涵養を同時並行的に行うことです。国・各自治体ともその点に留意し、再生に効果のある計画策定を目指しています。
本武 以前は魚介類が豊富で「宝の海」と呼ばれた有明海です。計画の策定にあたっては、日本の食料自給率向上という視点も持って考えていただければと思います。
また、海の環境ばかりではなく、海に流入する河川、その河川の源である山林までを含めた総合的な見地での考え方も必要だと思われます。
野田 本武さんの言われる通りで、最近では山を守ることが海の生態系を守ることにつながるという意識が浸透しはじめてきました。 実際に、針葉樹ばかりより、秋に葉が落ち、地面の養分が豊かになる広葉樹を植えた方が海の栄養素も豊富になることが分かってきています。
漁民の皆さんが、山間部で広葉樹を植樹する漁民の森などの活動をされているのも、このような意識の現れだと思います。国においても、地方自治体においても、海洋のみならず、自然の循環サイクルを考慮した環境保全を考えていくべきだと思います。
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